〒700-0818 岡山県岡山市北区蕃山町3-7 両備蕃山町ビル5階
JR岡山駅東口より徒歩15分/駐車場:2台あり)

受付時間

9:00~18:00
定休日:土曜、日曜、祝日

お気軽にお問合せ・ご相談ください

080-9137-2052

上司の発言が「パワハラである」と繰り返し述べ、会社が「パワハラではない」との結論を伝えても繰り返し「パワハラ上司」等と繰り返し述べる従業員の対応に悩んでいませんか。

今回はハラスメント調査の後も会社の調査に不満を述べる従業員の対応を最新裁判例を題材に検討します。

 

設例

当社の従業員Aは、この度、上司Bの発言などがハラスメントである等と被害申告をしてきました。Bの発言は、ハラスメントではないが指導としては不適切な発言であり、指導を行いました。

しかし、Aは、調査内容に不満を持ち、「再調査をせよ」と述べてきました。

また、Aは同僚や別部署の上司に「Bはパワハラ上司である」「会社はパワハラを隠蔽している」等と言い出しています。

Aのいうとおり再調査する必要はあるのですか。

 

対応のポイント

  • 参考となる裁判例を知る
  • ハラスメントの再調査義務はないことを伝える
  • 周囲に不満を述べることを制止する
  • 周囲に不満を言い続ける場合には処分等を行う
 

参考となる裁判例を知る

設例のような事案で参考になるのは、東京地裁令和6年6月27日判決(労働経済判例速報2571-3)です。この事案では、Aに対し、厳重注意や懲戒処分を行った事案です。

裁判所は、次のように判断し、懲戒処分等は適法であると判断しました。

 

本件申告の被害事実等について人事担当者等以外の者に伝達しないよう求める業務命令は、業務に支障を生じさせるおそれを防ぐためのものであり、しかも、原告に対して会社は継続的に対応をしていたこと等からすれば、業務命令は適法である

証拠等からしてもパワーハラスメント(通報対象事実)があったと信じるにたる相当な理由もない。

原告が業務命令違反を繰り返し注意されても違反し、解決金の支払いに応じなければハラスメントを隠蔽しようとしている等と連絡するなどと伝えたこと等を踏まえれば、通報手段は相当ではない。

したがって、譴責処分が相当性を欠くとは言えず、懲戒処分は有効である。

 

※この事案では最終的にハラスメントがあった等と繰り返し述べたことを理由とした解雇を有効としています。

 

ハラスメント調査後も繰り返し「ハラスメントがあった」と述べる従業員がいる場合、ハラスメントをしていない上司などを無意味に疲弊させてしまいます。

そのような事態を防ぐためにもこの裁判例を踏まえた対策を取ることが重要です。

 

ステップ1:再調査をする義務がないことを伝える

まずは次のような点を確認し、調査に落ち度がないことを確認します。

  • 被害者とされる側からヒアリングをしたか
  • 加害者とされた側からヒアリングをしたか
  • 目撃者等から必要なヒアリングをしたか
  • 証拠収集は行ったか
  • 証拠から合理的な事実認定を行ったか
  • ハラスメントか否か合理的に評価・判断したか

その上で、ハラスメントがなかったとの結論を伝える際などに再調査を行う義務がないことを伝えます。

貴殿よりハラスメントの再調査を要求されています。

しかし、当社の調査結果はすでに示したとおりであり、現時点で再調査は予定していません。

 

上記のチェックポイントが一つでも欠ける場合、解雇や処分ができないリスクが高まります。

参考裁判例は公益通報に関する事実(ハラスメント)がなく、またハラスメントがあったと信じるにたる相当な理由もないことが処分を有効とする理由として挙げられています。

これ等の調査ステップを欠いている場合や、評価が不適切な場合には、公益通報に該当する事実があったと事後的に評価され、解雇等が無効となってしまうことがあるためです。

 

労働問題に強い弁護士にハラスメント調査の適否などを確認してもらうことをお勧めします。

公益通報者保護法について、従業員10名程度の中小企業で特に注意すべき点は別途解説します

ステップ2:周囲に不満を述べることを制止する

同僚従業員や上司に繰り返し不満を述べていると職場の士気が下がりかねません。

そこで、担当窓口以外の従業員等に関してハラスメント調査について蒸し返すことを禁止することになります。

この禁止を行う際の書面を作る際のチェックポイントは次のとおりです

 
  • 必要な調査を尽くしたと言えるか(→ステップ1)
  • (可能であれば)蒸し返しを述べている事実の裏付けは確保したか
  • 当該ハラスメントについて他の従業員等に伝えることを禁止する旨明記したか
  • 代替の連絡先を手配したか(※)
 

社内の従業員のうちハラスメント調査担当者などを窓口に設定することが考えられます。

ただし、窓口の負担が大きい場合などには、外部の弁護士を窓口に指定することも考えられます。

 

ステップ3:周囲に不満を言い続ける場合には処分等を行う

ステップ2の業務指示にもかかわらず周囲の従業員にハラスメントについて述べ続ける場合には、懲戒処分等を含めた対応を検討することになります。

懲戒処分のチェックポイントは別記事で解説します。

ハラスメント苦情に対する懲戒処分について、次のような点をチェックすることになります。

 
  • 同僚に対して何を述べているのか(抽象的な不満か、具体的な指摘を伴うか)
  • どの範囲の従業員に述べているのか(全員か、親しい一部か等)
  • 言動の証拠はあるのか(メール等があると確実性が高い)
  • 上司個人を非難しているのか・会社を非難しているのか
  • いつ、どの程度の時間、そのような発言を行っているか(就業時間中か否か。長時間にわたる場合には職務専念義務違反等の問題にもなりうる)
  • どのような方法で発言をしているか(業務用端末を使っているか、私的なチャットか等)
 

その上で適切な懲戒処分の量刑を選択し、警告に臨むことになります。

労働問題に強い弁護士に相談し、問題社員の懲戒処分の量刑判断や隙のない対応ができます。

それでも問題社員にお困りならば

ここまでの対策を取っても解決しないケースでは、岡山の労働問題に強い弁護士にご相談ください。

弁護士が「次の一手は何をすべきか」を提案し、書面づくりなどを代行し、面談の立ち合いなども行います。

労働問題に6年以上取り組んでいる弁護士が直接サポートしますので、素早い回答と的確な助言で「問題社員にどう対応しようか」という悩みを解消できます。

「解雇を争った社員との紛争を1か月半で解決」「経営者に反発する社員の退職に成功」など、岡山でも多くの事案を解決しています。

地元岡山を起点に「経営者の抱える労働問題を解決する」ために尽力いたします。

 

執筆者の紹介

弁護士名:稲田拓真

2018年3月岡山大学法学部卒業。2019年12月弁護士登録。2024年1月岡山弁護士会に登録。経営者側の労働問題を得意分野とする。

 

お気軽にお問合せ・ご相談ください

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
080-9137-2052
受付時間
9:00~18:00
定休日
土曜、日曜、祝日

お気軽にお問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

086-201-1816

<受付時間>
9:00~18:00
<定休日>
第1・第3・第5土曜、日曜、祝日

フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。

新着情報・お知らせ

2025/10/01
ホームページを公開しました。
2025/09/30
「サービスのご案内」ページを更新しました。
2025/09/29
「事務所概要」ページを作成しました。

弁護士稲田拓真

住所

〒700-0818 岡山県岡山市北区蕃山町3-7 両備蕃山町ビル5階

アクセス

JR岡山駅東口より徒歩15分
駐車場:2台あり

受付時間

9:00~18:00

定休日

第1・第3・第5土曜、日曜、祝日