〒700-0975岡山県岡山市北区今2丁目6−10 内田ビル202
受付時間
事業の縮小や撤退で特定の部署・仕事がなくなったとき、そこにいた従業員を別の部署へ異動させたいと考えるのは当然のことです。ところが、いざ異動を打診すると「その仕事の約束で入ったのだから応じられない」と拒否され、対応に頭を悩ませる経営者は少なくありません。
しかし、最高裁は、職種を限定して雇った従業員には、その仕事が廃止された場合でも同意なく異動を命じることはできないと判断しています。
もっとも、正しい手順を踏めば、別の仕事を提案して解決へ進める道も残されています。本記事では、部署廃止に伴う異動を拒否する従業員への対応について、①解雇ができるのか②トラブルにならない対応手順、③弁護士に相談するメリットの順に、経営者の視点から整理します。日々の業務に追われるなかでも押さえておきたい要点を、できるだけ実務に即して解説します。
この記事を読んでもお悩みが解決しない場合、やり方はわかったが実際に作業ができない場合には、弁護士に相談することをお勧めします。
解雇・法的トラブルに発展する前に相談いただく方が、会社に有利な解決を実現できるためです。
裁判所は、職種を限定した従業員に対して異動を命じることはできないとしています。また、異動が法的に可能であっても、通常甘受すべき程度を著しく超える不利益などがあれば異動は無効となります。さらに、異動が適法であっても必要な説明などを尽くさないまま解雇をすれば、プロセスに問題があり解雇が無効となります。
専門職の賃金は高くなりがちです。そして、「高い賃金で採用したのだから当然動かせる」と経営者は考えがちですが、法律上はむしろ逆です。特定の職種に限定して雇い入れた従業員を他の部署へ異動させるには、原則として本人の同意が必要になります。これは、その事業自体をやめて仕事がなくなった場合でも変わりません。
最高裁令和6年4月26日判決も、技術職に限定して雇った従業員について、「その同意を得ることなく(総務課への)配置転換を命ずる権限をそもそも有していなかった」と判断し、職種が廃止される場合であっても一方的な異動命令はできないとしました。この事案では異動命令が無効とされ、慰謝料として100万円程度の支払いが命じられています。
職種限定の合意があるかどうかは、契約書の文言だけでなく、募集要項や履歴書、就業規則、実際に任せてきた業務内容などを総合して判断されます。ここを見誤ると、後の対応がすべて崩れる可能性があります。
職種を限定していない従業員であれば異動を命じられますが、その権限は無制限ではありません。裁判所は、①業務上の必要性がない、②不当な動機・目的がある、③従業員に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を与える、といった場合に異動命令を無効と判断します。
特に注意が必要なのは、退職勧奨の直後に異動を命じるケースです。「辞めさせるための嫌がらせではないか」と疑われやすく、不当な動機があると推測される可能性が高まります。遠隔地への異動など負担の大きい配置転換も、権利の濫用と判断されるリスクが上がります。さらに、黒字なのに突然事業を廃止したようなケースでは、事業廃止そのものの必要性まで問われることがあります。
異動の権限がありその内容も相当である場合には異動の拒否は解雇の理由になりえます。
また、職種を限定しているケースであっても、異動の提案は可能です。また、異動の提案を拒否し続けた結果、解雇に至った場合には、解雇が有効となるケースもあります。京都地裁令和7年1月27日判決は、職種が廃止された従業員に会社が別業務への配置変更を提案し、本人が拒否したため解雇した事案で、「配置転換先の職種及び業務内容については使用者に相当程度の裁量が認められる」として、技術者を総務部へ配置転換する提案を著しく不合理とはいえないと判断し、解雇を有効としました。
ただし、異動を提案したが拒否したからすぐクビにした、では、解雇が唐突との評価を免れません。例えば、配転の必要性、配転先における勤務形態や処遇内容等について、具体的かつ詳細な説明をしなかったこと等を理由に異動が無効となった事案もあります(大阪高裁平成17年1月25日判決)。
このような状態で解雇すれば、異動命令が無効であったから異動に応じないことを理由とする解雇に理由がないと判断され、解雇期間中の賃金(1年から2年分等)の支払いが命じられることも少なくありません。
経営者側の労働問題は思わぬところにリスクがあります。「常識的に考えたら大丈夫だろう」が通じず、多額の賠償を支払うことになったケースもあります。
まずはリスクの洗い出しと誓約事項の検討の相談をお勧めします。
結論:対応の第一歩は、その従業員を「特定の職種に限定して」雇っていたのかを見極めることです。ここを固めずに異動を発令すると、後で無効を主張され、対応全体が振り出しに戻ります。
難しいポイント・・・職種限定の合意は、契約書に「○○職に限定する」と明記されていることはむしろ稀で、多くは書面だけでは判断できません。募集要項や履歴書、就業規則、そして入社後に実際どんな業務を任せてきたかまで含めて総合的に評価する必要があり、経営者ご自身が「これは限定にあたるのか」を正確に判断するのは容易ではありません。例えば、最高裁令和6年4月26日判決の事案も、職種限定の文言は契約書になく、職種限定合意の有無そのものが争点となった事案でした。
弁護士が入るメリット・・・弁護士であれば、これまでの裁判例に照らして「どの資料のどの記載が限定合意の有無を左右するか」を踏まえ、手元の資料から冷静に見立てを立てられます。判断を誤ったまま進むリスクを、入口で防げます。資料をお持ちいただければ、限定合意にあたるかどうかの検討からお引き受けします。まずは問題社員の対応を弁護士に相談することをおすすめします。
結論:職種限定がない場合でも、業務上の必要性・動機や目的・従業員の不利益を分析し、権利の濫用と評価されない形に発令内容を設計しておく必要があります。発令の中身そのものが、後の紛争の勝敗を左右します。
難しいポイント:「必要性はあるか」「不当な動機と見られないか」「不利益が大きすぎないか」という3つの軸は、いずれも程度問題であり、線引きが微妙です。特に退職勧奨の直後や遠隔地への異動は危険信号ですが、経営の現場ではそうした事情が絡むことも多く、自社だけでリスクの大小を見積もるのは難しいのが実情です。
弁護士が入るメリット:弁護士は、類似の裁判例と照らし合わせながら、どの点が弱く、どう補強すれば有効性を高められるかを具体的に設計できます。発令のタイミング、説明すべき理由、代替案の用意まで含めて、後から争われても崩れにくい形に整えられます。発令前の設計は特に効果が大きい段階なので、この段階で問題社員の対応を弁護士に相談すると安心です。
結論:裁判所は結論だけでなく「プロセス」を重視します。必要な説明を尽くし、質疑の機会を設け、意見を踏まえて再提案したかどうかが、最終的に異動に従わなかった場合の解雇の有効性まで左右します。
難しいポイント:面談は、言い方ひとつ・記録の残し方ひとつで評価が変わります。感情的なやり取りになったり、説明が不十分なまま強行したりすると、それ自体が「不当な動機」の証拠として使われかねません。本業のかたわら、複数回の面談を適切に組み立て、記録を残していく負担は決して小さくありません。
弁護士が入るメリット:弁護士が面談のプロセスを監修することで、どの順序で何を説明し、どう記録に残すかを設計できます。これにより、仮に従業員が最後まで応じなかった場合でも、解雇を有効と認められやすい状態を作れます。面倒な段取りや記録づくりを任せられる点も、忙しい経営者にとって大きな利点です。難しいと感じた時点で問題社員の対応を弁護士に相談するのが、遠回りのようで最短の解決につながります。
「対策はわかったが具体的にどうすべきか」「文書を作るのが大変だ」等のお悩みを抱えている場合には弁護士に相談することをお勧めします。
相談時に弁護士が個別の案件に応じた解決策を提案いたします。
弁護士は、就業規則の整備から証拠固め、退職通知書の作成、紛争対応まで一貫して会社側を支えます。トラブルの予防にも有効で、相談した段階で方向性が定まり、それだけで解決に近づくケースもあります。
結論:職種廃止に伴う異動や解雇は、裁判例の理解と手続の設計が結論を大きく左右します。弁護士に依頼すれば、方針決定から交渉・訴訟まで一貫したサポートを受けられます。
弁護士ができることを整理すると、次のとおりです。
とりわけ、従業員が最後まで異動に応じなかった場合の解雇の有効性は、そこに至るまでの積み重ねで決まります。要所を押さえたサポートを受けることで、会社の対応が「筋の通ったもの」として評価されやすくなります。
異動をめぐるトラブルの多くは、「発令のタイミングが悪かった」「説明が不十分だった」「記録が残っていなかった」といった、事前に防げたはずの原因から生まれます。退職勧奨の直後の異動が不当な動機を疑われる、といった落とし穴も、事前に相談していれば避けられるものです。
弁護士が早い段階から関与することで、発令の順序や文書の整え方、面談の進め方をあらかじめ設計でき、後から「あのとき、こうしておけば」という事態を防げます。訴訟で1年以上対応をする時間を節約するとともに、100万円程度の慰謝料や1年分以上の賃金請求などの大きな負担が現実になる前に、入口で芽を摘んでおくことが、結果として最も時間もコストもかからない選択になります。
すべての案件で交渉や訴訟が必要になるわけではありません。相談を通じて方針が明確になり、経営者ご自身の対応だけで解決に至るケースも少なくありません。
たとえば、「そもそも職種限定にあたらず、異動を命じられる」とわかれば、自信を持って発令を進められます。逆に「このまま進めると危険」とわかれば、発令の内容やタイミングを見直すだけで大きなリスクを回避できます。どう説明すれば従業員に納得してもらいやすいか、どんな順序で進めればよいかといった見通しが立つだけで、対応の迷いは大きく減ります。
「弁護士に相談する=大ごとになる」というイメージを持たれる方もいますが、実際には、初期の相談で方向性を確認するだけで解決する場面は数多くあります。まずは気軽にご相談いただくことが、遠回りに見えて最も確実な一歩です。
弁護士は紛争を踏まえた上での解決策を提案できます。
まず相談して「自社の方向性が合っているのか」「もっといい方法はあるのか」を確認してみるのがお勧めです。
「従業員から訴えられた」「問題社員がいて会社だけでは手に負えない」といったケースでお悩みではございませんか。
経営者側の労働問題は弁護士でも得意、不得意が分かれる領域で、対応によっては多額の賠償を要することも珍しくありません。
他方で、弁護士によっては紛争にならない円満解決に向けたサポートができることもあります。
弁護士稲田拓真は、6年以上問題社員の対応などの労働問題に取り組み続けた、労働問題に強い弁護士です。
大学時代を過ごした岡山の中小企業に向けたサポートに力を入れています。
御社、あるいは社会保険労務士・税理士の先生方等では手に負えなくなった困難な労働問題は、是非ご相談ください。解決策を見つけていきます。
弁護士名:稲田拓真
岡山市に拠点を持つ「困った従業員・問題社員への対応」などの労働問題に強い弁護士。東京で4年以上、労働問題に対応し続けた経験を持つ。この経験や最新判例、人間心理の知識を生かし、迅速に解決策の提案と実行をサポート。「早々にご回答ありがとうございます」等の言葉をいただきながら、日々岡山の社長のために奔走している。
お電話でのお問合せ・相談予約
<受付時間>
9:00~18:00
<定休日>
土曜、日曜、祝日
フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。
〒700-0975 岡山県岡山市北区今2丁目6−10 内田ビル202
J北長瀬駅から車で5分
敷地内に駐車場完備
9:00~18:00
土曜、日曜、祝日