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2026年●●月●●日投稿
人事評価に納得せずに延々と上司に不満を述べる従業員がいると仕事が進まないことも少なくありません。
今回は、そのような従業員への対応が問題となった最新裁判例をもとに、対応策を経営者側の視点で解説します。
当社は金融商品を扱う事業者で、私は当社の代表者です。
当社は、人事評価の成績が悪かったXさんを、現在の担当者から外すことにしました。
すると、Xさんは、私との面談の場で、人事評価は改ざん可能であるから意味がないと述べ、また、反論文を1か月間にわたりメールで何度も送ってきます。その都度、私は、返信に追われています。
さらに、私がパワハラをしている等とありもしないことを述べています。
Xさんのような不満を言い続ける問題社員にはどのように対応すべきでしょうか。
設例のようなケースでは、会社としてXに辞めてほしいと考えるのは当然です。
もっとも、裁判所は、Xのような問題社員の解雇を無効と判断し、会社に多額の賠償を行わせることがあります。
そのため、解雇は最後まで避けるべきと考えます。
この事案では設例のXのような言動をした問題社員Xを、会社Y社が懲戒解雇しました。
そうしたところ、XはY社を相手に、解雇は不当な解雇で無効であり、解雇日以降の賃金の支払いを求めました。
設例のような言動は懲戒解雇事由となるか
この裁判例では、Y代表者が度重なるXのメールへの返信をしていたことを、「手間取られていた」と評価せず「業務の運営が阻害されたものとは認められない」と判断したことに、その特徴があります。
しかし、評価への不満を繰り返す問題社員は、同僚等にも不満を述べていることも多く、モチベーションを下げ、業務の運営を阻害していることが多いです。
このようなケースでも解雇が認められない裁判例があることを踏まえると、まずは、解雇以外の方法で、この社員に対応することになると考えます。
人事考課が違法となるのは、次のようなケースです
そこで、まずは、このような事項を評価していないか、人事考課の根拠が説明できるかを確認します。
また、次の裁判例のように人事効果による不利益が大きすぎていないかも確認する必要があります。
中小企業では、社長の一存での人事考課もよくあります。
これ自体は不当な人事考課ではありません。
しかし、問題社員や裁判所などから、人事考課が「嫌がらせである」「単なる個人的な好き嫌いである」と言われないようにするために、具体的な事実や、これまでの先例などを踏まえた説明ができる評価が重要となります。
なお、人事考課のマイナス考課について、その根拠となる具体的な発言やそれにより周囲に生じた迷惑の内容等が不明であったこと等から、人事考課が違法となった裁判例として、京都地裁令和4年4月27日判決があります(控訴審及び上告審でも争点とはなっていません。)。人事考課について具体的な事実の裏付けを確保することが重要であることは、ここからもわかります。
問題社員から適正な人事考課への不満が出た場合、一度だけその根拠を説明し、後は追加説明などはすべきでないと考えます。
また、問題社員の反論に対しても、逐一の回答は要しないと考えます。その理由は次のとおりです。
問題社員に対して、人事考課の内容を説明する際に伝える内容は次のとおりです。
当職が対応した事案は従業員が10名程度の会社で、やはり経営者と相性の悪い問題社員が経営者と反論を繰り返す状況になっていました。
逐一反論をしていると経営者も疲弊します。また、上記の裁判例からすれば、解雇に役立つわけではありません。
このため、「ご見解は聞きましたが、職務そのものではないため、本件についてのやりとりはこれ以上致しません。貴殿には本件に関する連絡を行わないように指示します。」と伝えてやりとりを切ることが重要です。
訂正要求を繰り返す、面談中に根拠なくパワハラ云々と繰り返し述べるようなケースでは、まずは厳重注意書などで指導を行うことになります。
厳重注意の方針などのイメージは次のとおりです。
設例の事案では次のような内容を伝えます。
経営者の中にはこのような厳重注意書の末尾に「異論がある場合には10日以内に書面で提出するように」等と記載する方もいます。
しかし、このような追記をすれば、問題社員の側から再反論などが出てしまいます。
また、反論を許容している以上、反論文を出したこと等を理由とした処分もできず、対応が行き詰まります。
このため、設例のような問題社員に対する業務指示などにあたっては、反論の提出を促すような表現は使うべきではありません。
指導をしても改善がない場合には、懲戒処分等の重たい処分を行うことになります。
懲戒処分としては、譴責・減給などの軽い懲戒処分が妥当すると考えます。その上で、問題行動を繰り返す場合には、出勤停止などの重たい処分とすることになります。
その上で、問題行動が治らず、辞めてもらう必要があるようなケースでも、まずは、退職勧奨による合意退職を目指すことになります。
「従業員から訴えられた」「問題社員がいて会社だけでは手に負えない」といったケースでお悩みではございませんか。
経営者側の労働問題は弁護士でも得意、不得意が分かれる領域で、対応によっては多額の賠償を要することも珍しくありません。
他方で、弁護士によっては紛争にならない円満解決に向けたサポートができることもあります。
弁護士稲田拓真は、6年以上問題社員の対応などの労働問題に取り組み続けた、労働問題に強い弁護士です。
大学時代を過ごした岡山の中小企業に向けたサポートに力を入れています。
御社、あるいは社会保険労務士・税理士の先生方等では手に負えなくなった困難な労働問題は、是非ご相談ください。解決策を見つけていきます。
弁護士名:稲田拓真
岡山市に拠点を持つ「困った従業員・問題社員への対応」などの労働問題に強い弁護士。東京で4年以上、労働問題に対応し続けた経験を持つ。この経験や最新判例、人間心理の知識を生かし、迅速に解決策の提案と実行をサポート。「早々にご回答ありがとうございます」等の言葉をいただきながら、日々岡山の社長のために奔走している。
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