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【最新裁判例】人事評価への不満を述べる問題社員の対応ポイントを弁護士が解説

2026年●●月●●日投稿

人事評価に納得せずに延々と上司に不満を述べる従業員がいると仕事が進まないことも少なくありません。

今回は、そのような従業員への対応が問題となった最新裁判例をもとに、対応策を経営者側の視点で解説します。

 
 

設例

当社は金融商品を扱う事業者で、私は当社の代表者です。

当社は、人事評価の成績が悪かったXさんを、現在の担当者から外すことにしました。

すると、Xさんは、私との面談の場で、人事評価は改ざん可能であるから意味がないと述べ、また、反論文を1か月間にわたりメールで何度も送ってきます。その都度、私は、返信に追われています。

さらに、私がパワハラをしている等とありもしないことを述べています。

Xさんのような不満を言い続ける問題社員にはどのように対応すべきでしょうか。

 

参考となる裁判例

概要

設例のようなケースでは、会社としてXに辞めてほしいと考えるのは当然です。

もっとも、裁判所は、Xのような問題社員の解雇を無効と判断し、会社に多額の賠償を行わせることがあります。

そのため、解雇は最後まで避けるべきと考えます。

 

最新裁判例:反抗的な社員の解雇を無効として1000万円の支払いを命じた例

裁判例:東京地裁令和7年3月13日判決(労働経済判例速報2592−16)
事案の概要

この事案では設例のXのような言動をした問題社員Xを、会社Y社が懲戒解雇しました。

そうしたところ、XはY社を相手に、解雇は不当な解雇で無効であり、解雇日以降の賃金の支払いを求めました。

本件の主要な争点

設例のような言動は懲戒解雇事由となるか

判断内容
  • XがYによる人事考課の改ざんの主張を繰り返したことについては、Y社が改ざんの可能性を払拭する根拠を示したわけではないため、一定の理由があり「会社の経営方針を誹謗し、業務の運営を阻害した」との懲戒事由には該当しない。
  • 1か月間文書を送り続けたことについて、被告代表者は、原告から送付された上記各文書の内容を確認し被告代表者の見解を追記するなどの対応をしていること等からすれば、必ずしも被告代表者の業務の運営が阻害されたものとは認められない。
  • 以上より、原告の行為はいずれも懲戒事由に該当せず、懲戒解雇は無効
結果
  • Xの言動を理由とした解雇(懲戒解雇)は無効である
  • Y社に対し、Xを復職させ流ことを命じた
  • Y社に対し、Xに解雇日以降の賃金として賃金2年分である1000万円超の支払いを命じた

最新裁判例の分析

この裁判例では、Y代表者が度重なるXのメールへの返信をしていたことを、「手間取られていた」と評価せず「業務の運営が阻害されたものとは認められない」と判断したことに、その特徴があります。

しかし、評価への不満を繰り返す問題社員は、同僚等にも不満を述べていることも多く、モチベーションを下げ、業務の運営を阻害していることが多いです。

このようなケースでも解雇が認められない裁判例があることを踏まえると、まずは、解雇以外の方法で、この社員に対応することになると考えます。

 

参考となる裁判例

違法な人事考課となっていないか確認する

人事考課が違法となるのは、次のようなケースです

  • 人事考課が法律上禁止された事項を考慮している(性別・組合差別等)
  • 目的が不当である(例えば、会社の意に沿わない言動を行った労働者に対する嫌がらせ・見せしめ目的の人事考課が違法となった例として大阪地裁平成21年10月8日判決)
  • 評価が著しくバランスを欠く(重要ではない事項を重視する等)
  • 所定の考慮要素以外の要素に基づいて考慮する(上長の個人的感情・見方を反映した評価など)
  • 評価対象期間外の事実を考慮する

そこで、まずは、このような事項を評価していないか、人事考課の根拠が説明できるかを確認します。

また、次の裁判例のように人事効果による不利益が大きすぎていないかも確認する必要があります。

 

最新裁判例:人事考課の賃金減額が無効となり約300万円の支払いを命じられた例

裁判例:東京地裁令和4年2月28日判決
事案の概要
  • 労働者Xが新人研修並みの業務さえこなせなかったこと等から、Y社が、Xについて、4年連続で低査定にした。
  • 最終的にXの賃金は4年間で30%程度引き下げられた。
  • Xが減額された賃金の支払いを求めて提訴
本件の主要な争点
  • 人事考課は適法か
  • 人事考課に沿って賃金を30%も引き下げたことは適法か
判断内容
  • 人事考課は適法である
  • しかし、「件降給基準を充足して賃金グレードが下げられたからといって、それに伴う労働契約上の職責や職務内容の変更を伴わなかった」こと等の問題がある。
  • このため、賃金減額については当初賃金を10%減額した金額を超える減額部分については「減額幅決定権限の濫用に当たり無効」である
結果
  • Y者の人事考課に伴う賃金の引き下げの一部は無効である
  • Y社に対し300万円近くの支払いを命じた。

確認ポイント

  • 人事考課のルール(就業規則など)の考慮要素を検討しているか
  • 人事考課の査定期間の範囲内での出来事が根拠となっているか
  • 評価の根拠となる具体的な事実があるか(単なる印象論と言われない根拠があるか)
  • 具体的な事実の裏付けはあるか(メール、文書など)
  • 先例と比べて評価は妥当か
  • 人事考課による不利益が大きすぎないか
 

弁護士のコメント

中小企業では、社長の一存での人事考課もよくあります。

これ自体は不当な人事考課ではありません。

しかし、問題社員や裁判所などから、人事考課が「嫌がらせである」「単なる個人的な好き嫌いである」と言われないようにするために、具体的な事実や、これまでの先例などを踏まえた説明ができる評価が重要となります。

 

なお、人事考課のマイナス考課について、その根拠となる具体的な発言やそれにより周囲に生じた迷惑の内容等が不明であったこと等から、人事考課が違法となった裁判例として、京都地裁令和4年4月27日判決があります(控訴審及び上告審でも争点とはなっていません。)。人事考課について具体的な事実の裏付けを確保することが重要であることは、ここからもわかります。

 

 人事考課の不満の説明は一度だけ行う

説明を一度にとどめる理由

問題社員から適正な人事考課への不満が出た場合、一度だけその根拠を説明し、後は追加説明などはすべきでないと考えます。

また、問題社員の反論に対しても、逐一の回答は要しないと考えます。その理由は次のとおりです。

  • 何度も説明をする負担が大きい反面、説明を尽くしたことが解雇の有効性を肯定する理由にならないこと(上記令和7年判決参照)
  • 説明が多いほど揚げ足を取られるリスクが高まること(パワハラリスク)
  • 「レスポンスバトル」のようになると、後の人事考課などが嫌がらせ目的と見られるリスクが高まること
 
 

説明すべき内容の例

問題社員に対して、人事考課の内容を説明する際に伝える内容は次のとおりです。

  • 人事考課の内容
  • その根拠となった事実(具体的なエピソードを説明するのがベストです)
  • 人事考課の不利益が大きくないこと等
 

弁護士のコメント

当職が対応した事案は従業員が10名程度の会社で、やはり経営者と相性の悪い問題社員が経営者と反論を繰り返す状況になっていました。

逐一反論をしていると経営者も疲弊します。また、上記の裁判例からすれば、解雇に役立つわけではありません。

このため、「ご見解は聞きましたが、職務そのものではないため、本件についてのやりとりはこれ以上致しません。貴殿には本件に関する連絡を行わないように指示します。」と伝えてやりとりを切ることが重要です。

 

 問題のある言動については指導を重ねる

説明を一度にとどめる理由

訂正要求を繰り返す、面談中に根拠なくパワハラ云々と繰り返し述べるようなケースでは、まずは厳重注意書などで指導を行うことになります。

厳重注意の方針などのイメージは次のとおりです。

設例の事案での厳重注意の方針

設例の事案では次のような内容を伝えます。

  • 反論文を提出しているが、当方の見解はすでに伝えたとおりであること
  • 今後は、今回の人事考課に関して、同様の反論文を提出することは禁止すること
  • 就業時間中に反論文を作成する等すれば職務専念義務にも違反すること
  • 同様の行為が繰り返された場合には、懲戒処分もありうること
 
 
弁護士のコメント

経営者の中にはこのような厳重注意書の末尾に「異論がある場合には10日以内に書面で提出するように」等と記載する方もいます。

しかし、このような追記をすれば、問題社員の側から再反論などが出てしまいます。

また、反論を許容している以上、反論文を出したこと等を理由とした処分もできず、対応が行き詰まります。

このため、設例のような問題社員に対する業務指示などにあたっては、反論の提出を促すような表現は使うべきではありません。

改善がない場合には懲戒処分等も行うこと

指導をしても改善がない場合には、懲戒処分等の重たい処分を行うことになります。

懲戒処分としては、譴責・減給などの軽い懲戒処分が妥当すると考えます。その上で、問題行動を繰り返す場合には、出勤停止などの重たい処分とすることになります。

その上で、問題行動が治らず、辞めてもらう必要があるようなケースでも、まずは、退職勧奨による合意退職を目指すことになります。

最後に:岡山の労働問題に強い弁護士のご紹介

「従業員から訴えられた」「問題社員がいて会社だけでは手に負えない」といったケースでお悩みではございませんか。

経営者側の労働問題は弁護士でも得意、不得意が分かれる領域で、対応によっては多額の賠償を要することも珍しくありません。

他方で、弁護士によっては紛争にならない円満解決に向けたサポートができることもあります。

弁護士稲田拓真は、6年以上問題社員の対応などの労働問題に取り組み続けた、労働問題に強い弁護士です。

大学時代を過ごした岡山の中小企業に向けたサポートに力を入れています。

御社、あるいは社会保険労務士・税理士の先生方等では手に負えなくなった困難な労働問題は、是非ご相談ください。解決策を見つけていきます。

 

この記事を書いた弁護士の紹介

弁護士名:稲田拓真

岡山市に拠点を持つ「困った従業員・問題社員への対応」などの労働問題に強い弁護士。東京で4年以上、労働問題に対応し続けた経験を持つ。この経験や最新判例、人間心理の知識を生かし、迅速に解決策の提案と実行をサポート。「早々にご回答ありがとうございます」等の言葉をいただきながら、日々岡山の社長のために奔走している。

 

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